「あ、ねぇ」

新聞紙を眺めていた星がカナを呼ぶ。

「これ、同じ場所じゃない?」

星が指さす記事には、三重県N市の廃墟化した銭湯で、未成年が覚せい剤を使用した事が書かれていた。

「あ…、本当だ…。
建物が一緒」

カナが頷く。

「でもよく殺人事件が起きた場所で、覚せい剤なんて使用出来るね~。
怖くないのかな?」

「覚せい剤する時点で怖くないのだから無敵なんじゃない?」

心做しか冷たくカナが答える。

「てかこれ最近じゃない?」

「最近!?
あんたの中で4年前は最近なの?」

カナは驚きを隠せない。

「4年前って18だよ?
青春真っ只中!
今はもうオバサンじゃん…」

「オバサンとか言わないでよぉ」

星は苦笑いを浮かべる。