祖母の葬式で忌引《きびき》を取ったら、仕事は出来るが愛想がない上司に無遠慮に聞かれた。

上司の名前は、藤木 立弥《ふじき りつや》、29歳。

「黒岩さん、他に頼れる親族はいる?」

「いません」

そんなことなんで藤木さんに聞かれなくちゃいけないの。


「そっか。じゃあ、俺と結婚しないか?」


「は?」


「頼れる人がいないんだろ?」

「あの、私もう26歳で社会人ですよ?」

「関係ない。大人でも一人ぼっちは寂しいだろ」