お父様が姿勢を正す。


「フレア、お前に「両方から」婚約話が来ている」


「え?」


私はつい貴族令嬢らしからぬ腑抜けた声を出してしまった。

「どちらもフレアと婚約したいと言って聞かないらしい」

「王家としてはヴィルシュタン家と繋がりは持ちたいようで、婚約はどちらでも構わないらしい」

両殿下も何故か婚約を結ばないことで有名だったが、お父様と同じく情勢を見極めていると思っていた。

お父様がもう一度大きなため息をつく。


「フレアがどちらと婚約するか選んでいいそうだ・・・」


お父様は頭を抱えた。