「フレア、お前に婚約の話が来ている」

公爵令嬢である私に婚約の話が来ることは、17歳という年齢では遅すぎる位だろう。

しかし、今このエイデール国は貴族間の情勢が不安定で、ヴィルシュタン家の一人娘である私の婚約は大きな意味を持つ。

お父様は貴族間の情勢を見極め、暫くは私の婚約は結ばない方針を定めていた。

お父様がその方針に従わず、私にまで話を通したということは、何かあったということだろう。


「どなたからでしょうか?」


私がそう尋ねると、お父様は大きなため息をついた。