「桃?」

それは今私が一番会いたかった人。
でも・・・

「・・・隼人」

この瞬間私の理性は切れてしまった。
今まで我慢していたものが一気に溢れだし、隼人に抱きついて号泣した。
いくら涙を止めようとしても止まらなくて、話をしようにも嗚咽で言葉にならない。
こんなに泣きじゃくったのは子供の時以来かもしれない。

「桃しっかりしろ、大丈夫か?」
泣きすぎたせいか過呼吸になり、ふらついてしまった私を隼人が支えてくれる。

「どうやらお嬢さんの心配は取り越し苦労だったようじゃな」
「それはどういう・・・」

ニコニコと笑うおじいさんと隼人の顔を交互に見ながら、私は一人状況が把握できずにいた。