彼女に少し意識してもらいたくて前髪を切った。
困ってる彼女に声をかけ、改めて名前を教えてもらい『綾』と呼べるようになった。
そして
、、、、、、無気力で残念だと言われている俺に
綾は好きだと言った。
付き合うとかわからなかったけど
でも、綾の興味を引けるなら付き合うのも頑張ろうと思った。
数日が経った。
最近は少しイライラするようになった。
「教科書貸してー?」
、、まただ。
綾はよく貴崎に物を借りに行く。
、、なぜ貴崎なんだ?
友達の名前を嬉しそうに呼び、毎日楽しそうにしゃべってる。
俺には、朝一言挨拶してくるだけなのに、、、
貴崎とも、教科書を借りたり談笑してたりする。
なぜ俺とはないんだ?
机の端を爪でトントン叩きながらその様子をじっと観察する。
「圭くーん!今日一緒帰れますか??」
突然視界が暗くなり、視線を上げると
作り上げたような笑顔と共に知らない女が立っていた。
「、、、何でお前と帰んなきゃなんねーの?」
バッサリと切り捨て、また机に顔を伏せようとしたとき
視界の端に、安堵の表情を浮かべる綾の姿をとらえた。
、、、あぁ、こうすれば良かったんだ。
こうすれば、綾の視界に俺が入れる。