○月曜日(朝)



「綾ー、起きなさーい!
 修斗くんきてくれてるわよー?」




「、、はっや!」




時計を見ると、まだ朝の7:30。



「はよ、綾。
 お前遅すぎねぇ?」






お母さんに許可をとったのか、修斗が入ってきて私の部屋の壁にもたれかかり私を見下ろしてくる。


かくいう私は、、
とりあえず、修斗が入ってくる前に制服は着れたけど他が何もできていないため歯磨きをしながら靴下を履いていた。






「どこいったぁ、私の香水〜」


お気に入りの香水が今日に限ってどこに行ったかわからない。

もう修斗の目が怖すぎる!!
早く見つかってくれーっと祈りながら探していると、



『プシュッ』


という音とともに、柑橘系の香りが辺りに立ち込めた。


「お前、遅せぇ
 もう俺のでいいだろ、変わらん変わらん」



と、めんどくさそうに修斗の香水を上から振りかけてきたのだ。



「お気に入りのつけたかったのにー!
 修斗のばか。」


「ああぁめんどくせっ。
 ほら行くぞ!」



ほんとにイラついているようで、これ以上待たせるのも忍びなかったため髪の毛は巻かずにお団子にして家を出た。





家を出たところで、信じられない光景が目に飛び込んでくる。








「、、、おはよ、綾。」






「圭?
 え、何でここにいるの!?」


そう、私の家の前のブロック塀に寄りかかって圭が立っていたのだ。


「、、、何でって、綾と一緒に学校行きたかったからだけど、ダメだった?」

圭の少し長めの前髪から、色素の薄めな目がのぞく。
そのキラキラとした目に吸い込まれそうな気がして固まっていると、




「綾、圭と一緒に行ったら?
 、、、、俺とは明日も一緒なわけだし。」

と修斗に声をかけられた。
彼の目は圭を捉えたままで、、え、私に話しかけてるっであってるよね、、 



「まぁ、そうだね!
 圭、一緒学校いこ?」



そう圭に声をかけたのに、圭も修斗から目を離さない。
、、もしかして私、蚊帳の外?






「んや、やっぱいいや。貴崎と行っていいよ」


不意に私が、圭の隣に並ぼうとしたところでそんなふうに言う圭。

「え?」


な、なんで?
初めて圭から一緒に行こって言われて嬉しかったのに、、。



いや!やっぱ私が圭と一緒に行きたい!





「ねぇ、一緒いkっ」

「あっそ、じゃあお言葉に甘えて。
 行こ、綾」


そういうと、修斗は私の手を引いて歩き出した。




「え、、待って修斗!私、圭と行きたい!
 だって、圭から誘ってきたのなんか初だよ?
 、、、ねぇって!」





何度も声をかけているのに全く無視な修斗。





「うわっ!」

『ドンッ!』



急に立ち止まった修斗にぶつかってしまった。



「、、、今お前が修斗の誘いに食いついちまったら、今までの計画が水の泡だろーが。そんくらい考えろよ。」




修斗は後ろを振り返りったかと思うと私の鼻をつまんで、笑いながらそう言った。



「ばかn、、」

文句を言おうと思って修斗を見ると、声からは想像できないくらい苦しそうに笑っていた。





「、、、どうしたの?」

流石の私も心配する。
いつも元気でみんなの輪の中で笑ってる修斗からは想像もできないくらいに複雑な表情だった。



「なんでもねーよ。早く来ねーと置いてくぞー」



スタスタと歩き出した修斗に少し違和感を覚えつつも、やっぱり圭と行きたかったなーと考えていた。







○休み時間(学校)



「かんなー、お昼食べよー」



いつものようにかんなを誘いに行く。




『ぐいっ』



「!?」




不意に腕を引っ張られ、びっくりしてそちらをみる。

「いつもと違う。」


圭だった。









「な、なにが!?」


突然話しかけてきて『いつもと違う』ってなにがよ!






「、、、ちょっと来て」

驚いて固まっている私の腕を強引に引っ張り、歩きだす圭。




「い、痛いってっ、、」

いつもの圭からは想像できないくらい強い力でひっぱられる。



~空き教室~



『ダンッ』

普段使わない教室につれてこられたかと思ったら、入るなり壁に追いやられ逃げ道を潰された。


「、、、、ど、、どうしたの?」


なにも言わない圭に痺れを切らして私から声をかける。



「、、、朝、何で貴崎が綾の家から出てきた
 の?」




「えっ、」





「、、、何でこの前駅で貴崎とお揃いのアクセサ
 リー買ってたの?

 何で、、、何で今綾から貴崎と、、同じ匂いが
 するの?」





彼は下を向いているから表情は見えないが、
しほりだすようにして発せられた彼の声は少し掠れていて、

聞いているこっちが切なく、苦しくなるような声だった。





え、、っと、、もしかして、いや、、、
もしかしなくても

















「、、圭、もしかして嫉妬してたりする?」