安梨なの…?



俺はもう1度確かめるように女の子の方に体を向けた




「柚綺(ユキ)のやつあげるよ。」




そう言って柚綺サンと言う人は芽衣の前にりんご飴を差し出していた



「えっ…,それはいくら何でも…」




俺はとっさにりんご飴を受けとらないような態度をとった




「いいの」



その声にまた反応してしまう…




俺の心はまだ敏感に動く…




その声には反論出来ない…




芽衣は結局りんご飴を柚綺サンから貰い,ソラを地面に降ろした



「すいません…」




俺は深々と頭を下げその言葉を呟いた。もしかすると,この言葉でもう1度声が聞けるかもしれないと淡い期待をもって…




でも,それから柚綺サンの返事は返ってこなかった。




「んじゃあ,俺達もうそろそろ行くわ」



そういう秦の声…,まって,もう1度だけ―…
声が聞かせて……?