俺は立ち上がりあえて屋台の方にはいかずに薄暗い木の中を歩いた




周りには怖い程生い茂っている木々があり,まるで今の俺の心みたいだった




今日はちょっとだけ欠けている月が俺を見るようについてきていた




何で,お前なんだよ…
これがあの子だったら─…




なんて思いながら薄暗い道を下を向きながらとぼとぼ歩く俺





そんな事思っても仕方ないのに…
そう自分に言い聞かせている自分が何処か惨めで情けなく感じる。




《ワン! ワン!》




下を向いて歩いていると突然聞きなれたような犬の声が聞こえてきた




ふと前を向くと凄いスピードで小型犬が向かってくる




薄暗くてちゃんとは見えないが,さっきの鳴き声に聞き覚えがある気がした




「ソラ!ちょっと待って!!」




ソラ…?
まさか─…?




笑いながらこっちに向かってくる犬と無邪気な女の子…




もしかして…,芽衣…?