雲は,俺達から空を奪っていく。
どんどん黒ずんでいく。





そんな中,芳輝がポツリと言葉を溢した。





「俺,この前蜜希クンに逢った…。」





小さく小さく言ったその言葉は,俺の耳にきちんと届く…





蜜希と芳輝が…?





「言ってた…蜜希クン。
亮に酷いことした,って。
別に責めるつもりなんてなかったのに…って。
ちょっとだけ,目潤ってた…」





俺は咄嗟に顔を上げ,芳輝の口元に視線を移した。





悲しそうな芳輝の顔を見れば,蜜希がどんな表情だったのか,なんとなく分かる気がした…。





俺は,余計に蜜希に傷を負わしてしまったのかな…





「蜜希クンと何があったか知んねぇけど,すげぇ後悔してるみたいだったけど…?
でも……蜜希クン,こう言ってた。







『何で,亮は心を開いてくれないんだろう……?』って…」