立ち上がり,歩き出そうとした足をとめ芳輝の方を向いた。
勿論,俺の目は尖っていく。





俺が…?





「お前,中2の時だってそうだったじゃねぇか?!
安梨ちゃんの事で傷付いたのは分かるけど,でも…!」





「うっせぇよ!!
お前に……,お前に……っ,一体…何が分かんだよ──…?」






強く言えたのは,唯一最初の言葉だけだった…,
もう,俺は強がることさえ出来なくなってしまったのかもしれない…





どんどん小さくなっていった言葉は,きっと弱弱しくて,今にも消えてしまいそうな俺の声。





俺の体は,次々と脱力感に襲われ,地面にパタンと座りこんでしまった。





思考力,行動力,気力…,全てが失われていく。
俺は,もう何も出来なかった。
これこそまさに,人間失格…?






「お前…,独りで抱え込みすぎだろ……?」





低い低いその声は,紛れもなく芳輝の口から聴こえてきた。
空が,黒い雲で覆われていく…