「私っ………ど…」
「違うって…」





言おうとした梢ちゃんの声を無視し,俺は言葉を発した。




固まる場の空気と数秒間の沈黙が流れる…





「とりあえず,顔上げて…座って?」





そう言葉をかけると,梢ちゃんは何も言わずに俺の言葉を聞いてくれた。





ゆっくりと見えてくる梢ちゃんの顔。






予想通りその顔はまた泪でびしょ濡れになっていた……






そして,泪で濡れた地面の上にまた体育座りで座る。






間近で見る梢ちゃんの泪…





やっぱりその表情は儚い─…。





俺は耐えられなくなり視線を逸らし,住宅街の方を向いた。






何故か想い出してしまうんだ…
君の泪は…安梨を誘う─………