俺と梢ちゃんとの間に風だけが流れる。
誰もいないこの河川敷で,誰も喋らないこの静かな場所で…






俺の視界に入ってくるのは雫を流す綺麗な梢ちゃんの表情。
必死で何かを訴えようとしている目…






溢れ出る泪は,風に身をまかし流れていく─…







その泪は葉月の涙とはまた違う気がした。
もっともっと重たくて大切な泪……






ねぇ,梢ちゃん…






この前も聞きたかった─…






空を見てた時も,湖面に表情を浮かべてた時も…






あなたは一体…






誰を想っていたんだろう…?