秋風がぴゅーと流れる…





それと同時に見てしまった。





秋風と一緒に少しだけ流された雫を…





きっと俺だけじゃなく,俺を苦しめるこの太陽も





空も雲も…





梢ちゃんの泪を見てしまった…






「梢…ちゃん?」






気がついた時には何故か俺は梢ちゃんの名前を呼んでいた。






自然と零れ出ていた言葉は梢ちゃんに届く…






さっきまで見ていた冷たい後ろ姿から梢ちゃんは俺に弱弱しい表情を見せた






その表情は凄く儚くて,切なくて,繊細で,─…
まるで,羽を失くしてしまった天使みたいだった…