俺は右手で壊れるそうになるほど強く携帯を握り締めた
願うは,バイブが鳴らないで欲しいという事だけ…






「どうしたの…?」





その言葉と同時にさっきまで空いていた俺の左手の上に栞の手が重なった。
ガタガタと震えていた左手が栞の手で温められていく






栞には,言う事じゃない…
この事は,栞には関係ないんだから。





でも,何で…?





俺の中で今…
凄く栞に慰めて欲しいという甘えが生まれている…







栞には迷惑かけたくない…
栞には心配されちゃいけない…






はぁ─……
やばい,泣きそうだ…






ベンチに座り何も言わない俺の隣で栞は手を握りながらずっと一緒にいてくれた。





可愛い栞の小さな小さな手だったけど
その手の温もりが俺にとって唯一の救いだった