「そんな事より,早くその子を」




渡辺先生は俺の方を真剣な目で見て晴弥をベッドみたいな所に寝転がせた




「ちょっと倉間サン…」




渡辺先生は晴弥の心臓の音を聞きながら奥にいたナース姿の人を呼んだ





その人は次々と晴弥の傷に薬や絆創膏を貼っていっていた





「亮君…?」




ナースの人に目をやっていると渡辺先生が俺を呼んだ




「…はい」




俺の声はちょっと震えていたかもしれない…





でも,渡辺先生の目が穏やかな表情に変わったのを見て俺は少し落ち着いた




渡辺先生がこの表情をした時はそこまで大変じゃないという証拠。




「ちょっと気を失っているだけだよ。1日安静にしていればまた元気になるよ。」




案の定,先生の口からは優しい言葉が出てきた




よかった─……




俺は体の力が一気に抜け,脱力感でいっぱいになった。