「ああ、これはどうも、わざわざお越しくださってありがとうございます。でも、精神科医のカウンセリングを受けるほどの状態ではないかと。仕事も一応できていますし」
「なにを言っているんですか。社長を診てもらうために来てもらったわけじゃないですよ。捺美さんの精神状態を解説してもらうためですよ」
「捺美の?」
驚いて精神科医の先生を見ると、にこやかに笑って肯定した。
高城は、先生を応接室のソファに座らせ、社員にお茶を持ってくるように指示した。
「どんなに考えても理解できないんですよ、捺美さんの行動が。あれだけ実家から離れたがっていたのに、誰にも相談せずに戻るなんて。それに社長と本物の夫婦になれて心から嬉しそうで明るくなっていたのに。一体どうして……」
それは、俺も思っていたことだった。捺美の行動の理由がわからない。
高城は悔しそうに言葉を吐いたが、俺だって同じ気持ちだ。
どうして捺美は俺を頼ってくれなかったんだろう。
どうして俺は、捺美を守れなかったんだろう。
「なにを言っているんですか。社長を診てもらうために来てもらったわけじゃないですよ。捺美さんの精神状態を解説してもらうためですよ」
「捺美の?」
驚いて精神科医の先生を見ると、にこやかに笑って肯定した。
高城は、先生を応接室のソファに座らせ、社員にお茶を持ってくるように指示した。
「どんなに考えても理解できないんですよ、捺美さんの行動が。あれだけ実家から離れたがっていたのに、誰にも相談せずに戻るなんて。それに社長と本物の夫婦になれて心から嬉しそうで明るくなっていたのに。一体どうして……」
それは、俺も思っていたことだった。捺美の行動の理由がわからない。
高城は悔しそうに言葉を吐いたが、俺だって同じ気持ちだ。
どうして捺美は俺を頼ってくれなかったんだろう。
どうして俺は、捺美を守れなかったんだろう。