そう言った大空も残りの荷物をまとめると、軽くベッドのシーツを整えた。


「じゃあ、2週間お世話になりました」


大空の担当看護師であった深山さんにお礼を告げて、いよいよ病室を出る。

退院は嬉しいし、できればもうここへ戻ってくるようなことはないと願いたい。 けれど、2週間お世話になった病室を離れることは、ちょっと寂しいかな……なんて思っている自分もいる。


「長かったし辛かっただろうけど、よく頑張ったよ。 遠山くん、いい彼女さんでよかったね」

「はい。 俺にはもったいないくらいです」

「あはは! そう思うんなら、大事にしなよ」

「もちろんです」


深山さんと大空のやり取りを横で聞いていて、さずがにこの内容の会話は恥ずかしくなる。

でも、嬉しい。
大空は、私のことをとても大切に想っていてくれることが伝わったから。


「それじゃあ、そろそろ行こうか」

「うん! 深山さん、本当にありがとうございました」


深山さんとはエレベーター前で別れて、2人で大学病院を出た。
急いで電車に乗って大空の住むアパートの最寄り駅で降り、入院中に使っていた物をとりあえず片付ける。

大空が入院中に私が荷造りしておいたスーツケースを持つと、再び駅へと向かった。