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一方、三人が出ていった教室に戻ってきたクラスの者たちは惨状にざわめいていた。
桐哉と柚姫も目を丸くし、状況に困惑する。
「……これは」
「ずいぶんと、荒れてるね」
最初はあまりの荒れようにゾッとしたが、鼻を掠めた匂いに桐哉はフッと笑い出す。
「どうしたの? 桐哉くん」
「いや。なんとなく葵斗と葉緩が暴れたのかなと思って」
そこで柚姫もまた、匂いに気付き笑い出す。
「ふふ、桐哉くんってたまに変なこと言うよね」
「……徳山さんも、意外とじゃじゃ馬なとこあるよね」
「そ、そんなことないもん!」
「いたっ」
顔を真っ赤にして桐哉の背を叩く柚姫。
たまに力加減を忘れた姿に桐哉は穏やかに微笑んでいた。
クラスの者たちが動揺しながらも教師に相談し、支持を仰ぐ。
桐哉と柚姫は廊下の窓から外を眺め、爽やかな風を浴びながら目を閉じた。
「早く、葉緩ちゃんが葵斗くんと仲良くなってくれるといいな」
「……そうだね」
――校舎を出て、葉緩は葵斗の首に抱きついてキラキラと笑う。
目を奪われるような二人の笑顔に、風がそっと祝福にそよいでいた。