「……葉緩。……葉緩」
声が聞こえる。
段々と怒気を含んでいく声に葉緩の意識が浮上していく。
「葉緩!」
「ふあい!?」
ハッと意識すると、朝の恒例となる家族面談の場にいた。
畳の上で忍びの装束をまとい、正座している。
目の前にいたのは眉間に皺をよせ、訝しげにこちらを見る宗芭であった。
「葉緩、お前は最近不抜けておるぞ。そんなことで主を守れるのか!?」
「申し訳ございません! この葉緩、気持ちを入れ替えて主様に忠誠を尽くします!」
畳に額を擦り付ける勢いで土下座をする葉緩。
挙動不審な動きをする葉緩にため息をついた後、宗芭は咳ばらいをした。
「うむ、それでよい。して、そろそろ中間テストの時期ではないか? ちゃんと勉強は」
宗芭の言葉に葉緩は苦笑いをする。
「……今日からでございます」
「なっ!?」
「そ、それでは学校でテストまで悪あがきをして参ります! 行ってきます!」
――ボンッ!
いつもより手荒に着替えると、嵐のように家から飛び出していくのであった。
残された宗芭は変わらずニコニコと笑みをはりつける絢葉と目を合わせ、再び咳き込んだ。
「葉緩は進級さえ危うかった。この先が心配だ」
「忍びはあくまで魂の主の従者。将来の職業にはなりませんからね」
「むっ……たしかにそうだが。……絢葉くん、もうちょっと夢見ない?」
「僕は将来、ロボット工学者になります。人々が求めているのは家事代行のロボットですので」
ニコーッと満足そうに絢葉は笑っていた。
「仕事を奪うのではありません。人間の創造性を高める上で、作業を行うのがロボットの役目と認識しております」
「そ、そうか」
「では本日も授業がありますので失礼いたします」
畳に手をつき、深々と頭を下げたあと絢葉は静かに部屋を去る。
一人になった宗芭はすっかり固定した眉間の皺を指でなぞりながら、真剣に悩みだしていた。
「いったい誰似なのだ、あの子は」
声が聞こえる。
段々と怒気を含んでいく声に葉緩の意識が浮上していく。
「葉緩!」
「ふあい!?」
ハッと意識すると、朝の恒例となる家族面談の場にいた。
畳の上で忍びの装束をまとい、正座している。
目の前にいたのは眉間に皺をよせ、訝しげにこちらを見る宗芭であった。
「葉緩、お前は最近不抜けておるぞ。そんなことで主を守れるのか!?」
「申し訳ございません! この葉緩、気持ちを入れ替えて主様に忠誠を尽くします!」
畳に額を擦り付ける勢いで土下座をする葉緩。
挙動不審な動きをする葉緩にため息をついた後、宗芭は咳ばらいをした。
「うむ、それでよい。して、そろそろ中間テストの時期ではないか? ちゃんと勉強は」
宗芭の言葉に葉緩は苦笑いをする。
「……今日からでございます」
「なっ!?」
「そ、それでは学校でテストまで悪あがきをして参ります! 行ってきます!」
――ボンッ!
いつもより手荒に着替えると、嵐のように家から飛び出していくのであった。
残された宗芭は変わらずニコニコと笑みをはりつける絢葉と目を合わせ、再び咳き込んだ。
「葉緩は進級さえ危うかった。この先が心配だ」
「忍びはあくまで魂の主の従者。将来の職業にはなりませんからね」
「むっ……たしかにそうだが。……絢葉くん、もうちょっと夢見ない?」
「僕は将来、ロボット工学者になります。人々が求めているのは家事代行のロボットですので」
ニコーッと満足そうに絢葉は笑っていた。
「仕事を奪うのではありません。人間の創造性を高める上で、作業を行うのがロボットの役目と認識しております」
「そ、そうか」
「では本日も授業がありますので失礼いたします」
畳に手をつき、深々と頭を下げたあと絢葉は静かに部屋を去る。
一人になった宗芭はすっかり固定した眉間の皺を指でなぞりながら、真剣に悩みだしていた。
「いったい誰似なのだ、あの子は」