依子が重たげに目を覚ますと
そこはいつもと変わらない見慣れた天井と
ベージュ色のカーテンの隙間から
うっすらと朝日が射し込んでいた。

しかし、いつもと違うのは狭いシングルベットに依子の隣に寄り添うように寝息をたてている大地がいることだ。

ゴミ箱の中には使用済みの避妊具が
何個も投げ捨てられていた。

流石、若いだけあって何度も求めてくる彼に
私は最後のほうは気絶するように
眠ってしまったのだ。

イタタタ...

そっと身体を起こすと30オーバーの身体のあちこちが悲鳴をあげる。

30にもなってこんな未来を約束したわけでもない男と一夜限りの関係を結んでしまうなんて親が知ったら泣くだろう。

彼も30過ぎた女との交際なんて
重すぎて望んでいるとは到底思えない。

きっと起きたら彼は昨日のことを
後悔するだろう。

ここは一つ、私から彼を解放してあげようではないか。

「ンンっ...依子...?」

私がベッドの端に腰を掛けたまま
部屋着に着替えていると
まだ裸のままの大地が眠気眼で
すくっと身体を起こした。

私が「おはよう」と言うと
「ん~、おはよ」と大地は
気持ちよさげに伸びをしている。