「千紗。」



グッと掴まれた腕。

私は胸がドキドキと高鳴っていながらも振り向かずにいた。



「さっき、なんて言った?」

「き…聞こえてたくせに……」

「もう1回言って」

「っ…………」

「千紗」



そう何度も名前を呼ばないでほしい。



呼ばれる度に身体が熱くなる。



振り向きたくなる。



「キス…したいなって……」



触れたくなる。