「千紗?」
名前を呼ばれると
身体が火照ったように熱くなる。
急に何も考えられなくなって
なんだかボーっとしちゃって。
距離をつめてきた佑斗に顔を覗き込まれたその瞬間
「……キス、したいなー…」
私はそんなことを口にしてた。
当然、佑斗の目は丸くなる。
「…………は?」
「え。あっ………」
「何言って…」
「ま…まって!今の無し!!!」
パッと顔を背ける私。
私何言ってるんだろう…!
「……千紗」
「なんでもない!なんでもないから!!」
「千紗」
「用事思い出したから先帰る…!」
逃げ出したかった。
さっさと佑斗の前から姿を消したかった。
だっておかしいよ、
佑斗には彼女がいるのに
それを知ってる上であんなことを言うなんて。