「誰かに言われた?長い方が良いとか」



もしそれが男で、そいつのイメージ通りになりたいとか思っているなら、それはそれで話が変わってくるけど。



「良い…とは言ってないけど……」

「うん」



モジモジと

言いづらそうにしているかと思えば



「っ………やっぱりなんでもない!!」



突然スクッと立ち上がって

そそくさと逃げ出す千紗。


ショートヘアの髪が軽く揺れた。



「知沙」

「わっ……な、なに!」



俺はそんな千紗を部屋から出る前に捕まえては、後ろからさらりと髪を撫でる。