緋色はグレーの浴衣に名前と同じ緋色の帯を締めていた。
長い髪は束ねていてうなじがセクシーだし、長い前髪も何故か色っぽく見える。
こんなの聞いてない……。
緋色を骨抜きにするどころか、あたしの方が骨抜きにされるなんて……っ!!
「〜〜っ、これくらいで勝ったと思わないでよ!!」
「いや何の話……?」
「華村さんは今日も元気だねー」
「後でみんなで写真撮りたいなぁ」
「咲玖が一番かわいい」
「あんたたち、バラバラに喋るのやめれる?」
* * *
花火大会が始まるまでまだ時間があるので、近くの大型スーパーで買い出しとお手洗いを済ませてから向かうことにした。
屋台も出てるけど、絶対混むから飲み物とかちょっとしたお菓子はスーパーで買っていくことに。
「ねぇ〜、あそこに超イケメン二人組いるんだけど!」
「ほんとだ〜!黒髪の人めっちゃタイプ〜」
すれ違い様にめっちゃ見られて騒がれてる九竜くんと黄瀬くん。
流石というか、これが普通なのよね……。
隣に浴衣姿の緋色もいるのに、アウトオブ眼中。
私服の九竜くんと黄瀬くんのが圧倒的にイケメンすぎる。
なのに、なんでかなぁ…。
あたしにとっては、緋色の方がカッコよく見えちゃうんだよね――……。
……やばいかも、結構末期かもしれない。