「……疲れた」


そのひと言に尽きる一日だった。

久しぶりの祖母とのお出かけ。それもクルーズ船でアフタヌーンティーなんて素敵と喜び勇んでついていったら、まさかのお見合い。
その顔合わせ前に相手と出会ったのは衝撃的だし、その彼と結託して恋人のふりをするのもセンセーショナルだ。

(だけど、聖さんと恋人同士なんて嘘、つき通せるのかな……)

ほかに手段がなかったとはいえ、大変な状況になったのは否めない。
先行きに不安しかないが、今は聖の恋人として振舞う以外にないと七緒は自分を奮い立たせた。