弱音を吐くことなく、ただ淡々と自分に課せられた義務をこなされてきたのです。 「でもね、ある日、不思議な子に出会ったってあの子の方から話しかけてきたの。 あの子から話してくれたことなんて久し振りでびっくりしたわ」 「不思議な子って?」 「もちろん、依里ちゃんの事よ」 「えっ、図書館で初めて会った時ですか?」 「あら、随分と運命的な演出をしたのね、あの子」 奥様、それは言ってもいいものなのでしょうか。