気持ちを通わせ、恋人同士となり、セルーシャはこれまでの人生を捨てた。
セルーシャ・ディメイズは当時の国王の娘、王女であった。公爵家に降嫁する未来しか与えられていない立場。底辺貴族のダルスと結ばれるには、そうするより他なかったのだ。
当然王女の失踪は問題となったが、二人の出会いから逢瀬まで、セルーシャの普段の行動からは逸れており、見つかることなく捜査は打ち切りとなった。
平民としてダルスと婚姻を結ぶことは、王族の血筋以外が軽視される国柄のため雑な戸籍管理ゆえに容易く。
そうして、娘のセレニカが産まれ、家族三人での平穏な日々が訪れた。……はずだった。
セルシアと名を改めて密やかに暮らしていた彼女を、街中で見かけてもしやと怪しんだ貴族がいた。
そこからあっという間に王家へと繋がり、兵士が派遣され、そのまま帰らぬ人となった……。もとより公爵家の人間としか婚姻を結ぶことがないと定められている立場、王族の血を外へ出さないための処置なのだろう。
その場で殺害されたこともあり、どこでどう生きていたのかまでは把握されなかったようで、ダルスとセレニカにまではその手は及ばなかった。
とはいえ、買い物にと外出する妻を見送ったきり、死に目どころか遺体すら確認出来ず、唐突に失った日常。
ダルスの負った心の傷は、それでも時間の経過とともに癒されつつあったはずだったのに。セレニカの状況を受けて傷が開いてしまったようだ。
セルーシャ・ディメイズは当時の国王の娘、王女であった。公爵家に降嫁する未来しか与えられていない立場。底辺貴族のダルスと結ばれるには、そうするより他なかったのだ。
当然王女の失踪は問題となったが、二人の出会いから逢瀬まで、セルーシャの普段の行動からは逸れており、見つかることなく捜査は打ち切りとなった。
平民としてダルスと婚姻を結ぶことは、王族の血筋以外が軽視される国柄のため雑な戸籍管理ゆえに容易く。
そうして、娘のセレニカが産まれ、家族三人での平穏な日々が訪れた。……はずだった。
セルシアと名を改めて密やかに暮らしていた彼女を、街中で見かけてもしやと怪しんだ貴族がいた。
そこからあっという間に王家へと繋がり、兵士が派遣され、そのまま帰らぬ人となった……。もとより公爵家の人間としか婚姻を結ぶことがないと定められている立場、王族の血を外へ出さないための処置なのだろう。
その場で殺害されたこともあり、どこでどう生きていたのかまでは把握されなかったようで、ダルスとセレニカにまではその手は及ばなかった。
とはいえ、買い物にと外出する妻を見送ったきり、死に目どころか遺体すら確認出来ず、唐突に失った日常。
ダルスの負った心の傷は、それでも時間の経過とともに癒されつつあったはずだったのに。セレニカの状況を受けて傷が開いてしまったようだ。