目覚ましの音。
手だけ目覚めて、それを布団へ引きずり込む。
くぐもったベルの音がやがて止む。

いつもの朝の光景。
そして、這い出すように布団から起き上がるアヤ。
すでに隣にはコータローの姿はない。

「おはよう。」
キッチンから紅茶の香りとともに、コータローの声がした。
「あ、おはよ・・・また、負けちゃった(^^;) 」
負けるも何も・・・アヤの目覚ましは、航太郎のそれよりも
30分も遅い設定なのだから。

窓越しの光のなかで、二人は紅茶を飲む。
その片手間に、アヤは朝食の支度を始める。
と言っても、二人分のパンを焼き、夕べの残り物を
冷蔵庫から引っ張り出すだけ。


そのうちにコータローの出勤時間がやってくる。