その後、私は、廊下のひとけの無いところまで連れて行かれ、ドンと肩を押され、尻もちをついてしまった。

「いたっ! 何すんの……」
「きゃははっ! なーんだ、口あるんじゃん。普段あんまりしゃべってるとこ見たことないから、どこかに置き忘れてきてるのかと思ってたー」

 何それ。

 三人の女の子の中でも一番リーダー的な子が、私を見下ろしてそう言った。
 腕を組んで、いかにもえらそうな感じで。

 その子の両脇にいる、ふたりの女の子もその子に便乗するかたちで、何か言ってるけど、正直どうでもよかった。

 こんないじめみたいなことをするのは、心に余裕のない人がすることだって前にお母さんが言ってたもん。
 だから私は、右から左に聞き流していた。

 尻もちついちゃったから、その部分だけは痛くて、気持ちがそっちへ集中していた。