「実は、俺の可愛い婚約者が、俺が訪ねてこないと職場で拗ねていると聞いてな」
アルフレッドはにやりと口の端を上げてベアトリスを見る。
(ジャン団長の仕業ね!)
なんて余計なことを言うのか。明日、しっかりと文句を言ってやらないと。
「拗ねてはおりません。 全然いらっしゃらないなと思っただけです」
「それを、世の中では拗ねているという」
「全然違うと思います」
ベアトリスはぴしゃりと否定する。
「そうかそうか」
アルフレッドは楽しそうに肩を揺らした。
(この人、わたくしの話を聞いているのかしら?)
軽くあしらわれていて、ベアトリスは遠い目をする。はあっとため息をつき、気を取り直してアルフレッドを見た。