艶やかな金髪に、こちらを見つめる瞳は紫。身長はベアトリスより一回り高い。ラフな貴族服を着ても隠しきれない高貴なオーラを放ったその人は、紛れもなく王太子であるアルフレッドだった。

「中に入れてくれないのか?」

 びっくりして固まるベアトリスを見おろし、アルフレッドは小首をかしげた。

「あ、はい。どうぞ」

 王太子が訪ねてきて、扉の前で追い返すことなどできない。
 ベアトリスは反射的に一歩身を引き、アルフレッドを部屋に入れる。

 アルフレッドは部屋に入ると、片隅に置かれている応接セットのソファーに座った。ベアトリスはその向かいに座る。

「こんなお時間にどうされたのですか?」

 ベアトリスは驚きつつも、用件を尋ねる。

「妃を訪ねるのに何か理由がいるのか?」
「いえ、そういうことでは……」

 ベアトリスは頬をひくつかせる。