「力量を見極めて依頼しているから大丈夫だ」
「はあ、そうですか」

 命令してきたのは王太子であるアルフレッドなのに、どうしてこの人がこんなに偉そうなのだろう。仕える主の有能さは自身の有能さと相関するとでも言いたいのだろうか。

「そういえばジャン団長。ジャン団長って王妃様の血縁者ですか?」
「俺か? そうだな」

 ジャンは何を当然のことを、とでも言いたげな顔で頷く。

(やっぱり!)

 人を顎でこき使ったり、無理難題を押し付けたり、どおりでいつも偉そうなはずだ。

「どうしてそんなことを聞く?」
「さっき妃教育で系統図を見ていたら、アマール公爵家が王妃様の生家だと記載されていたのでもしかしたらと思ったんです」
「なるほど」

 ジャンの口元が弧を描く。

(そう言えば……)