自席に戻ったベアトリスはがっくりと肩を落とした。
まさかあんなににべにもなく却下されるなんて!
「どうだった?」
心配したサミュエルが様子を見に来る。
「取り付く島もありませんでした」
「ははっ、団長らしいな」
サミュエル苦笑する。
「ああ、もう! 頑張らないと」
ベアトリスは先ほどサミュエルが持ってきた調書をざっと開く。すると、その中に複数の見慣れない文字の書類が混じっていることに気付いた。以前見たヒフェル文字もある。
「前々から思っていたんですけど、ところどころで外国の文字、しかも今は使用されていない古語を使っているのはなぜですか?」
「ああ、それはね」
サミュエルは答える。
「錦鷹団の仕事は王命の機密事項を扱っていることも多いから、万が一にも手紙を敵に奪われた際にも簡単には読まれないようにするための対策なんだ。魔法をかけた上で、普通なら使わない文字を使っている。普通の人は、これを見てもまず読めない」
「なるほど」