「少し、考えるじか────」

「名高先生の作品、俺も好き」

「……は?」



 その言葉の意味を理解した瞬間、私は二つの感情に襲われた。


 同志を見つけた喜びと、『告白』ではなかった落胆。


 これを同時に味わう私って、いったいなんなんだ。



 でも私にとっては、圧倒的に前者が勝った。



「まっ……ままままじで? ほんとのほんとに、名高先生!?」

「『狸顔の俺が、世界を救う理由』でデビューが決まって、今ちょうど新連載始まってる」



 言葉には表せないような「うへっ」「おほっ」みたいな、なんとも変な声が出た。


 同担を見つけたときのオタクはこんなものだろう。


 同担拒否ではなく、しかもわりとマイナーなもの(ケータイ小説界隈で先生は全然マイナーではない、むしろ超人気有名作家だけど!!)を知っている人がいたときの感動は、簡単には形容できない。