「────好きだよ」



 まっすぐ背中にかかった声に、ピタリと足が止まる。


 くるりと振り返った先、真っ赤な顔で私を見つめる水谷くんがいた。


「え?」


 窓から入ってくるあたたかい風が、優しく髪を揺らす。


 ふわ、と静かな音を立てて踊る髪を梳く。


 これはもしや、これまで幾度となく見てきた……いや読んできた、『告白』というやつではないか。


 放課後の教室に二人きり、窓からの風に揺れる髪、少しだけミステリアスな男の子。


 うん。要素は十分にある。


 ただ、大事な主人公というのが私というのは読者に申し訳ないけれど。



 でもまあ、私もぶっちゃけ自分は可愛い類の顔だと思うし、水谷くんに想いを寄せられるというのも納得できるわけで。


 あまりに突然だったから、まったく準備はできていなかったけれど。


 えっと、こういうときはどう言うんだっけ。