そして迎えた、放課後。


「朝乃。話がある」


 保健室に行って、なんとか回復したらしい水谷くんのほうが、私を呼び止めてきた。


 口封じでも、するのだろうか。

 水谷くんの瞳はとても真剣で、私たちの間に緊張が走る。



 もうみんな、部活に行ってしまった空っぽの教室。


 に、ふたりきり。

 


 これを聞いたら、すべてが変わっちゃうような気がする。


 どうせ今から水谷くんは、自分の正体を明かすんだ。

 自分は、名高先生だと。



 だったら、私から聞いても、もういいんじゃない?

 正直、私にはいま、97パーセントくらいの確信がある。



 向かい合ったわたしの頰を、窓から入ってきた優しい風が撫でてゆく。


 水谷くんが話し出そうとする直前、私はパッと口を開いた。