「それって……」



 訝しげに眉を寄せた羽花ちゃん。


 ふ、と小さく息をついてテーブルの上で手を組むと、チャームポイントである大きな猫目で私を見据えた。



「な、なななんでもないよ……これは」



 慌てて鞄の中に紙を突っ込む。


 けれど、「なにか隠し事してるでしょ」と頰を膨らませた羽花ちゃんは、コンコンと指で小さく机を弾き、音を立て始めた。


 あ、相当苛立ってる。


 わずかに耳が赤くなっているから、この状況をあまりよく思っていないみたいだ。



「どうして言ってくれないの。嘘ついてるのバレてるよ」

「べつに大したことじゃないよ」



 不確かだし、曖昧だし。


 私のただの妄想かもしれないし。


 そんなつもりで放った言葉は、彼女の苛立ちをより加速させてしまったようだ。



「関係ないって言われてるみたいで超ショック。大したことじゃなくても話してほしいのに」

「いや、だから……」

「言ってよ。私たち、親友だよね?」