「おろして...ください」

喘息発作はバッグに入ってた吸入薬で楽になった。もう動けるし帰れる

「結構危険な状態だよ?」

「もう落ち着いたんで」

...コンッコンッ

救急車の後ろからノック音が聞こえてドアが開いた

そこには






橘先生がいた


「...先生」

「すず」

「こないで。
会いたくない。

っ...」

目を背けたわたしを
あったかい腕が包んだ。

消毒の匂いが少し混ざった柔軟剤の匂いがする

「すずやっと会えた...
もう大丈夫。絶対もう離さない」

大好きな優しい声と包まれた腕があったかくて一度引いた涙が再び流れ出した

「...家に...帰りたい...先生」

もう何もしたくない
身体がだるくて動きたくもない

「泣き止んで。
呼吸しんどくなるから。
このマスクつけると楽になるよ。ほら。」

酸素マスク。


「いらない」

何もしなくない
今もこれからもずっと
病気と付き合うの疲れちゃった