そしてすぐに家に帰り、父さんが帰ってくるのを待った。


「……やっぱり、志望校を変えたい」

「どうして?」


母さんは明らかに戸惑っている。

父さんも……。

当たり前か……そのまま進学した方がいいだろうし。


「……どうしても天宮に行きたいんだ」

「なぜ?」


そう言われると、何も出てこない。


「理由がないことにはなぁ……」


理由は……ないわけじゃない。

あの女、川澄と同じ学校に行きたいから。

ただそれだけ。

でも、不純な動機……。


「……もしかして、気になる女の子でもいるの?」


はっ……⁉︎

母さんが俺を見てそう言った。

……なんで分かったんだ?

……いや、昔から母さんは周りをよく見ていた。