いやいや、何考えてんだよ、俺!

そんな事考えてる暇無いぞ!


帰ろ……。


なんで自分がそう思ったのかは分からない。

胸の奥にあるモヤモヤは、晴れないままだ。

職員室を出て少し歩くと、さっきの女の後ろ姿が見えた。

ドクン、ドクン……

まただ、また変な動悸がする。

一体どうしたって言うんだよ。

俺は、おかしくなったのか?

そんな訳分からないことを考え歩いていたら、女の前に1つの影が落ちた。


「よぉ、川澄」

「洋超くん……」


洋超?どっかで聞いたことがある名前だな。

それにしても……あの女、川澄って言うんだな。

女の名前を知れたことに、俺は嬉しくなった。

どうしてだ?

ん?女の様子がおかしい気がする。

さっきの職員室で話していた時よりも明らかによそよそしいし、目が泳いでいるし……何より、洋超って男を怖がっているようにも見える。