でも、表情一つ変えない。

どちらかというと、……ウンザリしているような……不愉快そうな表情。

でも、どこかで見たような気がする……。

って、そんなわけないよね。

きっと、気のせいだ。

私が彼と接点なんてあるはずない。


席に着いてしばらくすると、隣の席に一人の女の子が座った。


「はじめまして、私は平凛(たいらりん)。よろしくね」

な、なんと話しかけてくれた。

って、私も答えなきゃ。

そう思って女の子の方を見ると、私は固まった……。

なぜなら……


「か、可愛い……」

「えっ……」


ど、どうしよう。口に出しちゃってた。


「あ、えっと、ごめんなさい。失礼ですよね。すみません……」