建物の前で見慣れない女が箒を振っている。髪を後ろでくくり、レースつきのボンネットを被っていて、後ろを向いているのでこちらからは顔が見えない。
「新人か?」
「かもしれませんね。ロージーがこないだも忙しくてたまらないので新しい人を早く雇えと、人事担当のケイルをどやしつけていましたから」
口の端に笑いを滲ませながらキースは近寄ると、背景に薔薇でも浮かびそうな笑顔を浮かべ、女の背中に声をかける。
「お初にお目にかかります、美しいお嬢さん。新しくこちらに配属された方でしょうか? であれば私が、手取り足取りこの魔法騎士団についてレクチャーを……」
「俺は先に戻ってるぞ」
いつもながら手慣れた彼に、付き合っていられんと横を通り過ぎようとしたリュアンだったが、女性の顔を見てつい半身を引いてしまう。
「新人か?」
「かもしれませんね。ロージーがこないだも忙しくてたまらないので新しい人を早く雇えと、人事担当のケイルをどやしつけていましたから」
口の端に笑いを滲ませながらキースは近寄ると、背景に薔薇でも浮かびそうな笑顔を浮かべ、女の背中に声をかける。
「お初にお目にかかります、美しいお嬢さん。新しくこちらに配属された方でしょうか? であれば私が、手取り足取りこの魔法騎士団についてレクチャーを……」
「俺は先に戻ってるぞ」
いつもながら手慣れた彼に、付き合っていられんと横を通り過ぎようとしたリュアンだったが、女性の顔を見てつい半身を引いてしまう。