「くそっ、どいつもこいつも……」

 リュアンは苛立ちを隠せない様子で石だたみを蹴りつけ、それを腹心であるキースが(なだ)める。

「ま、仕方ありませんよ。目立つ我々が面白くないという彼らの気持ちも分からないでもない。要はお偉方の前では、我々の様な大して実績のない若造は大きな顔をせず……黙って言うことを聞いておけということです。こればかりは、我々の努力だけではなんともなりません」
「そんなことはどうでもいい! 奴らは、国を背負っている者だという自覚があるのか!? あいつらの判断の一つ一つで誰かの命が失われるかもしれないんだぞ……個人的な感情や利害は排して一丸となって協力し、どうすれば多くの人を救えるのかもっと真剣に話し合うべきだろ! それを正騎士のやつらまで……」
「まあまあ。ここで我々が怒っても、何も変わりませんよ。今成すべきは粛々(しゅくしゅく)と実績を積み、味方を増やすこと。周りのこちらを見る目が変わるまではね……おや?」

 本部目の前でキースは、はたと足を止めた。