「一応貴族籍には入ってますけど、元はただの商家の娘でして、なんでもやりますよ。料理も、洗濯も、生きるための仕事ですもん! お願いします、ご迷惑は決してかけませんので! この通り!」

 しかしそこは商家の娘、とんでもないと首を横に振るとセシリーは商人張りの押しの強さを見せ、ロージーは弱った様子ながら承諾してくれた。

「わかったわかった。そこまで言うならちょっと色々お願いしちゃおうか。じゃあ着いといで、ここでの仕事を教えてあげる。後でちゃんとお給金も出るよう交渉するよ」
「ありがとうございます!」
「その前に、今更だけどちょっと着替えちゃおっか。上等な服を汚させても申し訳ないからね」
(えへへ……家に閉じこもってるよりこっちの方がずっと楽しそうだわ)

 ロージーに連れられて衣裳(いしょう)部屋へと向かいながら……セシリーは先程の不満もどこへやら、今回のことは中々面白い体験になりそうだと、にんまりとした笑みを浮かべるのだった。