「……あいつも向こうにいるとさ。丁度いい、皆まとめて終わらせて連れ帰る。こんな時に勝手した罰は重いぞ……終わったら五割減給の上、当分王都外周を魔法無しで走り込みだな。リルルは当分飯抜き……いや肉抜きだな。野菜なら食わせてやる」
「ほどほどにしてあげてくださいよ、ただでさえ少ない団員に辞められたら調整役の私が困るんですから」
「それもそうだな……。さあ、そろそろ行くか」
「では、私からの餞別の言葉を」

 背筋を伸ばしひとつ咳払いした後、キースは朗々とした大声で述べた。

「『魔法騎士団隊規第十条――団員たる者、最も尊むべしは人命とし、いかな状況にあっても決して諦めを抱かず、己と仲間を守り抜き団へと帰還すること』! もちろん忘れてはいませんね、おふたりとも?」
「……ああ!」「はい!」
「よろしい! では、お気をつけて……」

 ふたりが一緒に返事をすると、彼は笑顔になって頷き、順番に手を握る。握手はたっぷりと長く……キースの言葉に出来ない思いが伝わって来るかのようだった。