謙遜する二人に微笑ましい視線を向け、キースは鼓舞するように言う。

「周りの人たちも私も、皆信じています。今のあなたたちならば必ず、災厄の封印を再び成し遂げて戻ると……。王家にこれでどんと貸しを作って、無能な重鎮どもや正騎士団をせいぜいいびり倒す立場に帰り咲いてやろうじゃありませんか。その時が楽しみですね……それと」
「わかってる。ラケルとリルルのことだな」

 迷うようなそぶりを見せたキースの考えを汲み取ったかのように、リュアンは重々しく頷く。

 ラケルは舞踏会があったその日、魔法騎士団本部から姿を消してしまったのだという。そしてリルルも彼を追ったか、時を同じくして首輪を外し、どこかへ行ってしまったらしい。

「団長、部屋にあなた宛ての手紙が残されていたそうです。私も中身は見ていません」

 簡素な白い封筒はロージーが彼の部屋を掃除に入った際に見つけたそうだ。キースから手渡されたそれを開き素早く目を通したリュアンは、冗談っぽく笑って懐に仕舞い込む。