魔法騎士団の仲間たちも、すでに魔物の脅威に備えるため各地へ赴いている。リュアンが守り役としてセシリーと共に赴かなければならないため、キースは本部に残り、正騎士団と連携を図りつつ全体を指揮する役目を担う。彼はいつも通りの調子で皮肉を言い、共に戦えないことを悔やしがった。

「はぁ、こんなことであれば、団長に舞踏会の相手役を任せなければよかったですかねぇ。セシリーさんの晴れ姿をこの目に収められなかったのも残念ですし」
「なんだと? お前みたいな軽薄男にセシリーと踊る権利があると思うな。こいつの相手は俺だけだ。オーギュストさんにだってさっきちゃんと認めてもらったんだからな」
「おやおや、独占欲丸出しで恥ずかしい人だ……。ま、その勢いがあれば大丈夫ですか。ちゃんと彼女を守り切ってあげてくださいよ」

 口元の片方だけをニヤッと上げると、キースは並ぶふたりをしっかり見つめる。

「本当に面白いものですね、人とは。互いと出会ってからのこの数か月で、ふたりとも大きく成長したように見えますよ。自分自身でも変化に気付いているのではありませんか?」
「ま、まあ多少はな」「……少しだけですけど」