「俺、この国へ来れて、本当によかった……。かけがえのない大事な人は失われてしまっても……あいつが伝えてくれたものはちゃんとここにあるって、思い出すことができたから。自分から、勇気をもって人と繋がること。ほら……」

 彼は胸に添えた手をそのまま差し出し、無邪気な子供のような笑顔で笑いかけた。

「あの時はごめん。そしてありがとう、セシリー……俺の仲間になってくれて。俺たちの元に戻って来てくれて」
「……リュアン様」

 今この胸に感じている喜びが、純粋に人として必要とされた喜びなのか、それとも……彼個人に向けられた想いなのか……。それすら今はどうでもよかった。視界が霞むのを感じながらセシリーは、かつて振り払われた手をもう一度躊躇わず、彼の手の上に乗せる。

 温かい気持ちが手のひらを通じて伝わってくるようで、心地よい沈黙に満たされる中……そっと近づいて来たメイアナが、布に包まれたなにかをテーブルの上に置く。