久しぶりの来店だったが、メイアナはセシリーの事をちゃんと覚えていた様子で嬉しそうに出迎えてくれた。そんな彼女にリュアンはあまり来ないせいか、少し遠慮がちに頭を下げる。

「メイアナさん、お久しぶりです。俺に渡したいものを用意してくれたとキースから伺ったんですが」
「ええ。少しお茶でも飲んでお待ちいただけるかしら。先に閉店の準備だけしてしまいますので……」

 店内にはもう客がおらず、閉めてしまうようだ。自分たちも何か手伝おうかと申し出たが、柔らかく拒絶され、セシリーはリュアンと差し向かいで香りのよい紅茶を楽しむ。

 向かいで頬杖を突いていた彼がふいに、意地悪く口の端を上げた。

「今度のことといい、つくづくお前は問題ばっかり引っ張って来るなぁ」
「こ、今回のは、私のせいじゃない……と思いますけど。うん、多分そう……だといいなと」
「あんまり自信が無いんじゃないか。ははは」

 リュアンがこうして素直に笑ってくれるのは初めてかもしれない。ひとしきり気持ちよさそうに笑うと、彼は感慨深げに目を細める。